心に響く聖書の言葉

三章 終末はいつ来るのか




 聖書が預言している世の終わり(終末)について学ぼうとする時、もっとも興味深く、知りたいと願うのはそれがいつなのかということです。将来に対する期待と不安を誰もが持っているからです。
 イエス・キリストの弟子たちも興味津々でした。イエス・キリストのもとにひそかにやって来て教えを乞いました。
マタイ24:3 イエスがオリーブ山で座っておられると、弟子たちがひそかにみもとに来て言った。「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのですか。あなたが来られ、世が終わる時のしるしは、どのようなものですか。」

1.誰にも決して惑わされてはいけない

 弟子たちの質問に対して、イエス・キリストの答えはまず「人に惑わされるな!」でした。
マタイ24章4〜5節 「人に惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わします。
 キリスト(救世主)を装った偽の預言者が現れて、「世の終わりが来た!」とか、「世の終わりは〇月〇日だ!」と宣言したりするので、そんな人間に騙されてはいけないと教えられたのです。

 また、使徒パウロも「だれにもだまされてはいけません」と命じています。
Uテサロニケ2:2 霊によってであれ、ことばによってであれ、私たちから出たかのような手紙によってであれ、主の日がすでに来たかのように言われるのを聞いても、すぐに落ち着きを失ったり、心を騒がせたりしないでください。
2:3 どんな手段によっても、だれにもだまされてはいけません。


 1973年に発行された五島勉の著書『ノストラダムスの大予言』により、フランスの医師・占星術師ノストラダムスが著した『予言集』(初版1555年)が脚光を浴びました。その中で、「1999年7の月」に人類が滅亡するという解釈を掲載したため、世の終わりが噂され、空前のオカルトブームを引き起こしました。しかし、その指定日が過ぎ2000年に入った途端、ブームは過ぎ去りました。

 また、キリスト教の異端「エホバの証人」は、「世の終わり」は1914年だと宣言していましたが、その日が過ぎても歴史が続いたため、教義を訂正し、「世の終わりは1914年に始まった」とし、キリストは目に見えない形で再臨された教えています。

 最近では、マヤ文明で用いられていた長期暦が2012年の年末頃で区切られていることから、2012年で人類が滅亡すると予言され、世界中の多くの人が惑わされました。しかし、時が過ぎても何も起こりませんでした。

 これらの世の終わりの噂、惑わしは今後も頻繁に起こり、多くの人々を惑わすでしょう。ですから私たちは聖書の教えに耳を傾け、誰にも惑わされないように気を付けましょう。


2.その日、その時は誰も知らない

 イエス・キリストは世の終わりの時について、キリストご自身も「知りません」と言われました。
マタイ24:36 ただし、その日、その時がいつなのかは、だれも知りません。天の御使いたちも子(イエスご自身のこと)も知りません。ただ父(父なる神)だけが知っておられます。
 「キリストなのに世の終わりの日を知らないとは不可解だ」と言われるかもしれません。しかし、それは人となられたイエス・キリストが地上生涯を歩まれた期間のみ知らされていなかっただけです。

 ですから、世の終わりの日時を誰も知ることは出来ません。もしその日を公言する人があれば、その人は偽預言者あるいはペテン師だと考えてください。たとえその人が知識者であっても、どれほど慈善にあふれた人であっても、また奇蹟やしるしを行う人であっても、彼のことばに耳を傾けないように気を付けてください。

 では、なぜ神様は私たち人間に「世の終わりの日」を教えてくださらないのでしょうか?どうして秘密にしておられるのでしょうか?――その理由はいくつか挙げられます。

a.遠い将来の事だと知るなら、自分には関係がないとして神様のことばを気にかけず生活してしまう。
b.反対に世の終わりがすぐだと知るなら、私たちは悲観的になり、自暴自棄に陥り、欲望のままに生活するでしょう。
c.私たちが常に世の終わりがあることを意識しながら生活することを望まれているからです。
マルコ13:33 気をつけて、目を覚ましていなさい。その時がいつなのか、あなたがたは知らないからです。

 ただし、世の終わりが近づくと多くの前兆があることを聖書は教えています。それについては次章で詳しく学びます。

3.なぜ神様は世の終わりの時を延ばしておられるのか?

 イエス・キリストが墓からよみがえられ、天に帰られてからすでに約二千年が過ぎています。黙示録においてイエス・キリストは「わたしはすぐに来る」と四度も語られているのに(黙示録3:11,22:7,12,20)、遅すぎると誰もが感じています。ところが、使徒たちはこの遅延をあらかじめ預言していました。
※イエス・キリストが再び地上に来られる時が「世の終わりの日」だと聖書は教えています。

Uペテロ3:9 主は、ある人たちが遅れていると思っているように、約束したことを遅らせているのではなく、あなたがたに対して忍耐しておられるのです。だれも滅びることがなく、すべての人が悔い改めに進むことを望んでおられるのです。

 すべての人が罪を悔い改めて滅びないため、イエス・キリストの来臨が遅れていると使徒ペテロは教えています。
 また、使徒パウロはイエス・キリストの再臨の時について言及し、それは「異邦人の満ちる時」が来て、「イスラエルがみな救われる時」だと教えています。
ローマ11:25 兄弟たち。あなたがたが自分を知恵のある者と考えないようにするために、この奥義を知らずにいてほしくはありません。イスラエル人の一部が頑なになったのは異邦人の満ちる時が来るまでであり、
11:26 こうして、イスラエルはみな救われるのです。「救い出す者がシオンから現れ、ヤコブから不敬虔を除き去る。

 「異邦人の満ちる時」とは、教会が完成するときであり、世界中で救われるべきクリスチャンの数が満たされる時のことです。つまり福音が全世界に宣べ伝えられる事が必須です。そしてイスラエル人が信仰的にリバイバルされ救われると「世の終わりの日」が来ると預言しています。


 従って「世の終わりの日」は神様が立てられたご計画通りに進められているのです。神様の権威によってその日は定められており、それがいつなのか誰も知ることは出来ません。

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