心に響く聖書の言葉

四章 世の終わりにはどんな前兆があるのか@




 聖書はこの世界には終わりがあることを私たちに預言しています。そして世の終わりが近づくと数多くの前兆があると教えます。聖書がこれらの前兆を記しているのは、それを読む人が世の終わりに備えるためです。地震や津波が起こるとその災害に備えるため警報が発令されるように、聖書はあらかじめ世の終わりに備えるため警報を発しているのです。「耳のある者は聞きなさい!」とイエス・キリストが言われたように、これはあなたとあなたの愛する人たちを守るため、神様が備えられた命綱(救いのメッセージ)なのです。

共観福音書(マタイ、マルコ、ルカ)に記された前兆


 マタイ、マルコ、ルカによる福音書に、イエス・キリストが教えられた世の終わりに関する預言があります。重要な箇所ですので、注意深く見ていきましょう。

1.マタイによる福音書24章

24:1 イエスが宮を出て行かれると、弟子たちが近寄って来て、イエスに向かって宮の建物を指し示した。
24:2 すると、イエスは弟子たちに言われた。「あなたがたはこれらの物すべてを見ているのですか。まことに、あなたがたに言います。ここで、どの石も崩されずに、ほかの石の上に残ることは決してありません。」
24:3 イエスがオリーブ山で座っておられると、弟子たちがひそかにみもとに来て言った。「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのですか。あなたが来られ、世が終わる時のしるしは、どのようなものですか。

 弟子たちの質問は、@エルサレム神殿の崩壊 Aイエス・キリストの再臨 B世が終わる時――についてであり、弟子たちはこれら三つの出来事が同時に起こると考えていたようです。イエス・キリストは弟子たちの質問に次のように答えられました。

24:4 そこでイエスは彼らに答えられた。「人に惑わされないように気をつけなさい。
24:5 わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わします。
24:6 また、戦争や戦争のうわさを聞くことになりますが、気をつけて、うろたえないようにしなさい。そういうことは必ず起こりますが、まだ終わりではありません。
24:7 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、あちこちで飢饉と地震が起こります。
24:8 しかし、これらはすべて産みの苦しみの始まりなのです。
24:9 そのとき、人々はあなたがたを苦しみにあわせ、殺します。また、わたしの名のために、あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。
24:10 そのとき多くの人がつまずき、互いに裏切り、憎み合います。
24:11 また、偽預言者が大勢現れて、多くの人を惑わします。
24:12 不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えます。
24:13 しかし、最後まで耐え忍ぶ人は救われます。
24:14 御国のこの福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての民族に証しされ、それから終わりが来ます
24:15 それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす忌まわしいもの』が聖なる所に立っているのを見たら──読者はよく理解せよ──
24:16 ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。
24:17 屋上にいる人は、家にある物を取り出そうとして下に降りてはいけません。
24:18 畑にいる人は上着を取りに戻ってはいけません。
24:19 それらの日、身重の女たちと乳飲み子を持つ女たちは哀れです。
24:20 あなたがたの逃げるのが冬や安息日にならないように祈りなさい。
24:21 そのときには、世の始まりから今に至るまでなかったような、また今後も決してないような、大きな苦難があるからです。
24:22 もしその日数が少なくされないなら、一人も救われないでしょう。しかし、選ばれた者たちのために、その日数は少なくされます。
24:23 そのとき、だれかが『見よ、ここにキリストがいる』とか『そこにいる』とか言っても、信じてはいけません。
24:24 偽キリストたち、偽預言者たちが現れて、できれば選ばれた者たちをさえ惑わそうと、大きなしるしや不思議を行います。
24:25 いいですか。わたしはあなたがたに前もって話しました。
24:26 ですから、たとえだれかが『見よ、キリストは荒野にいる』と言っても、出て行ってはいけません。『見よ、奥の部屋にいる』と言っても、信じてはいけません。
24:27 人の子の到来は、稲妻が東から出て西にひらめくのと同じようにして実現するのです。
24:28 死体のあるところには、禿鷹が集まります。
24:29 そうした苦難の日々の後、ただちに太陽は暗くなり、月は光を放たなくなり、星は天から落ち、天のもろもろの力は揺り動かされます。
24:30 そのとき、人の子のしるしが天に現れます。そのとき、地のすべての部族は胸をたたいて悲しみ、人の子が天の雲のうちに、偉大な力と栄光とともに来るのを見るのです。

  マタイによる福音書では、世の終わりの前兆についてまとめられており、エルサレム神殿崩壊については触れられていません。そして世の終わりのクライマックスとしてイエス・キリストの再臨が預言されています。従って話を聞いていた弟子たちは、「神殿崩壊は世の終わりの前兆の一つとして起こるのだ」と受け取ったことでしょう。

※キリストが再臨されると千年王国時代が始まることがヨハネの黙示録等で預言されています。したがって、福音書中の「世の終わり」は、「この時代の終わり」という意味であり、人類がすべて滅びるということではありません。

 マタイによる福音書24章で、世の終わりの前兆として語られている事をまとめると
@多くの偽キリストが出現
A戦争と戦争のうわさ
B世界中で飢饉と地震
Cイエス・キリストの信者が迫害を受ける(ユダヤ人信者だと考えられる)
D多くの偽預言者
E不法がはびこるので、多くの人の愛が冷える
F福音が全世界に宣べ伝えられる
―――そして世の終わりが来る
G預言者ダニエルによって語られた『荒らす忌まわしいもの』が聖なる所に立つ(次ページで詳しく解説)
H偽キリストたち、偽預言者たちが現れて、大きなしるしや不思議を行う
I苦難の日々の後、太陽は暗くなり、月は光を放たなくなり、星は天から落ち、天のもろもろの力は揺り動かされる
J人の子のしるしが天に現れる
K人の子が天の雲のうちに、偉大な力と栄光とともに来る


2.マルコによる福音書13章

13:1 イエスが宮から出て行かれるとき、弟子の一人がイエスに言った。「先生、ご覧ください。なんとすばらしい石、なんとすばらしい建物でしょう。」
13:2 すると、イエスは彼に言われた。「この大きな建物を見ているのですか。ここで、どの石も崩されずに、ほかの石の上に残ることは決してありません。」
13:3 イエスがオリーブ山で宮に向かって座っておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにイエスに尋ねた。
13:4 「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのですか。また、それらがすべて終わりに近づくときのしるしは、どのようなものですか。
13:5 それで、イエスは彼らに話し始められた。「人に惑わされないように気をつけなさい。
13:6 わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『私こそ、その者だ』と言って、多くの人を惑わします。
13:7 また、戦争や戦争のうわさを聞いても、うろたえてはいけません。そういうことは必ず起こりますが、まだ終わりではありません
13:8 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、あちこちで地震があり、飢饉も起こるからです。これらのことは産みの苦しみの始まりです。
13:9 あなたがたは用心していなさい。人々はあなたがたを地方法院に引き渡します。あなたがたは、会堂で打ちたたかれ、わたしのために、総督たちや王たちの前に立たされます。そのようにして彼らに証しするのです。
13:10 まず福音が、すべての民族に宣べ伝えられなければなりません。
13:11 人々があなたがたを捕らえて引き渡すとき、何を話そうかと、前もって心配するのはやめなさい。ただ、そのときあなたがたに与えられることを話しなさい。話すのはあなたがたではなく、聖霊です。
13:12 また、兄弟は兄弟を、父は子を死に渡し、子どもたちは両親に逆らって立ち、死に至らせます。
13:13 また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれます。しかし、最後まで耐え忍ぶ人は救われます。
13:14 『荒らす忌まわしいもの』が、立ってはならない所に立っているのを見たら──読者はよく理解せよ──ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。
13:15 屋上にいる人は、家から何かを持ち出そうと、下に降りたり、中に入ったりしてはいけません。
13:16 畑にいる人は、上着を取りに戻ってはいけません。
13:17 それらの日、身重の女たちと乳飲み子を持つ女たちは哀れです。
13:18 このことが冬に起こらないように祈りなさい。
13:19 それらの日には、神が創造された被造世界のはじめから今に至るまでなかったような、また、今後も決してないような苦難が起こるからです。
13:20 もし主が、その日数を少なくしてくださらなかったら、一人も救われないでしょう。しかし、主は、ご自分が選んだ人たちのために、その日数を少なくしてくださいました。
13:21 そのときに、だれかが、『ご覧なさい。ここにキリストがいる』とか、『あそこにいる』とか言っても、信じてはいけません。
13:22 偽キリストたち、偽預言者たちが現れて、できれば選ばれた者たちを惑わそうと、しるしや不思議を行います。
13:23 あなたがたは、気をつけていなさい。わたしは、すべてのことを前もって話しました。
13:24 しかしその日、これらの苦難に続いて、太陽は暗くなり、月は光を放たなくなり、
13:25 星は天から落ち、天にあるもろもろの力は揺り動かされます。
13:26 そのとき人々は、人の子が雲のうちに、偉大な力と栄光とともに来るのを見ます。

 マタイによる福音書と比較すると、いくつかの省略がありますが、内容としてはほぼ一致しています。ただし、9節から23節の内容は当時の弟子たちに起こる事として話されているかのようです。事実、弟子たちは福音を宣べ伝えたので迫害を受け、法廷でさばかれ、人々から憎まれました。従って、AD70年に起こったエルサレム神殿崩壊の預言と世の終わりの預言が混ざっていると考えられます。


3.ルカによる福音書21章

21:5 さて、宮が美しい石や奉納物で飾られている、と何人かが話していたので、イエスは言われた。
21:6 「あなたがたが見ているこれらの物ですが、どの石も崩されずに、ほかの石の上に残ることのない日が、やって来ます。」
21:7 そこで彼らはイエスに尋ねた。「先生、それでは、いつ、そのようなことが起こるのですか。それが起こるときのしるしは、どのようなものですか。
21:8 イエスは言われた。「惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名乗る者が大勢現れて、『私こそ、その者だ』とか『時は近づいた』とか言います。そんな人たちの後について行ってはいけません。
21:9 戦争や暴動のことを聞いても、恐れてはいけません。まず、それらのことが必ず起こりますが、終わりはすぐには来ないからです。」
21:10 それから、イエスは彼らに言われた。「民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、
21:11 大きな地震があり、方々に飢饉や疫病が起こり、恐ろしい光景や天からの大きなしるしが現れます。
21:12 しかし、これらのことすべてが起こる前に、人々はあなたがたに手をかけて迫害し、会堂や牢に引き渡し、わたしの名のために、あなたがたを王たちや総督たちの前に引き出します。
21:13 それは、あなたがたにとって証しをする機会となります。
21:14 ですから、どう弁明するかは、あらかじめ考えない、と心に決めておきなさい。
21:15 あなたがたに反対するどんな人も、対抗したり反論したりできないことばと知恵を、わたしが与えるからです。
21:16 あなたがたは、両親、兄弟、親族、友人たちにも裏切られます。中には殺される人もいます。
21:17 また、わたしの名のために、すべての人に憎まれます。
21:18 しかし、あなたがたの髪の毛一本も失われることはありません。
21:19 あなたがたは、忍耐することによって自分のいのちを勝ち取りなさい。
21:20 しかし、エルサレムが軍隊に囲まれるのを見たら、そのときには、その滅亡が近づいたことを悟りなさい。
21:21 そのとき、ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。都の中にいる人たちはそこから出て行きなさい。田舎にいる人たちは都に入ってはいけません。
21:22 書かれていることがすべて成就する、報復の日々だからです。
21:23 それらの日、身重の女たちと乳飲み子を持つ女たちは哀れです。この地に大きな苦難があり、この民に御怒りが臨むからです。
21:24 人々は剣の刃に倒れ、捕虜となって、あらゆる国の人々のところに連れて行かれ、異邦人の時が満ちるまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされます。
21:25 それから、太陽と月と星にしるしが現れ、地上では海と波が荒れどよめいて、諸国の民が不安に陥って苦悩します。
21:26 人々は、この世界に起ころうとしていることを予測して、恐ろしさのあまり気を失います。天のもろもろの力が揺り動かされるからです。
21:27 そのとき人々は、人の子が雲のうちに、偉大な力と栄光とともに来るのを見るのです。

 ルカによる福音書での注目点は、弟子たちの質問が、エルサレム神殿が崩壊するときについてであり、キリストの再臨及び世の終わりについては言及していません。そのため、イエス・キリストの答えにも違いが生じています。この違いは、著者の執筆目的の違いによるものだと考えられます。

 また、ルカによる福音書では、預言された出来事の順序が記されていることも注目すべき点です。
偽キリストの出現や、戦争や暴動、地震、飢饉、疫病等が起こる前に、弟子たちへの迫害が預言されています。そしてエルサレムが軍隊に囲まれ、その滅亡があり、イスラエル人が全世界に捕虜となって散らされ、異邦人の時(教会時代)が終わるまでエルサレムが異邦人の支配下に置かれることが預言されています。――これらの預言はすでにその通りに成就していることを歴史は証明しています。

 従って、ルカによる福音書における預言の歴史的順序は次のようになります。
@弟子たちへの迫害
Aエルサレムの滅亡
Bイスラエル人の離散
C偽キリストの出現
D戦争や暴動のうわさ
E戦争
F地震、方々に飢饉や疫病
G天と地において、恐ろしい大きなしるし(11節から25節につながっています)
Hキリストの再臨

 注意すべき点は、マタイとマルコ福音書で記されている「預言者ダニエルによって語られた『荒らす忌まわしいもの』」の出現にはルカは触れず、「エルサレムが軍隊に軍隊に囲まれる」時としています。この違いも、ルカが当時のエルサレム神殿崩壊に注目しているからです。従ってこの三福音書(共観福音書)の内容の違いは、著者たちの執筆目的の違い、及び、当時のエルサレム神殿崩壊と、世の終わりの前兆が混ざっているため区別が難しくなっています。さらに聖書に記された他の預言箇所から分かってくることは、AD70年に起こったエルサレム神殿崩壊と同じような出来事が、将来に再び起こるのです。これは二重預言と呼ばれ、聖書の中で珍しいものではありません。

 従って共観福音書だけでは預言の解釈は困難ですから、他の聖書預言の箇所を参照していきます。

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