心に響く聖書の言葉

六章 患難期に起こること




 聖書は近い将来、未だかつてなかった苦しみの時、患難期が来ると預言しています。患難期に起こることについてはそのほとんどがヨハネの黙示録に記されています。七年間の患難期を、前半と後半の三年半ずつに分けて見ていきます。

1.患難期の前半


 クリスチャンがキリストの空中携挙によって地上から姿を消す事により、世界中で大混乱が起こることは間違いありません。それが患難期開始の合図となります。映画となった「レフトビハインド」は酷評を受けた作品ですが、この時の状況を描いた作品として有名です。ある日突然、世界中のクリスチャンが全員いなくなるのですから、社会は混乱し、人々は世の終わりが来たと不安に陥り、暴徒化する人達も出ることでしょう。

A. 偽りの世界教会

 そのような混乱のなか、多くの人々が聖書の預言を思い出し、キリスト教に目を向けるはずです。しかし、その時には本当の教会は天に上げられており、地上に残っているのは偽りの教会(異端)です。人々はこの偽りの教会のなかで最も大きなキリスト教団体に救いを求めて集まることでしょう。黙示録ではこの偽キリスト教団体のことを「別の獣」「大淫婦」「大バビロン」「偽預言者」と様々な名を用いて預言しています。

黙13:11 また私は、別の獣が地から上って来るのを見た。それは、子羊の角に似た二本の角を持ち、竜が語るように語っていた。

黙17:1 また、七つの鉢を持つ七人の御使いの一人が来て、私に語りかけた。「ここに来なさい。大水の上に座している大淫婦に対するさばきを見せましょう。
17:2 地の王たちは、この女と淫らなことを行い、地に住む人々は、この女の淫行のぶどう酒に酔いました。」
17:4 その女は紫と緋色の衣をまとい、金と宝石と真珠で身を飾り、忌まわしいものと、自らの淫行の汚れで満ちた金の杯を手に持っていた。
17:5 その額には、意味の秘められた名、「大バビロン、淫婦たちと地上の忌まわしいものの母」という名が記されていた。
17:6 私は、この女が聖徒たちの血とイエスの証人たちの血に酔っているのを見た。私はこの女を見て、非常に驚いた。

17:15 また、御使いは私に言った。「あなたが見た水、淫婦が座しているところは、もろもろの民族、群衆、国民、言語です。
17:18 あなたが見たあの女は、地の王たちを支配する大きな都のことです。」

黙 19:20 しかし、獣は捕らえられた。また、獣の前でしるしを行い、それによって獣の刻印を受けた者たちと、獣の像を拝む者たちを惑わした偽預言者も、獣とともに捕らえられた。この両者は生きたまま、硫黄の燃える火の池に投げ込まれた。

 「バビロン」とはバベル(混乱、乱れ)の派生語であり、堕落し神に反抗する者の象徴だと言えます。また、「淫婦」とは、聖書中、背信したイスラエルに用いられた語であり、宗教的堕落を意味します。宗教及び政治に深く関わっているところから推測するなら、この女は背信の世界的大教会だと考えられます。その特長は次の通りです。

@反キリスト(世界の政治的支配者となる)と協力して国々を支配する。17:1〜2、18
A宗教的権威を利用して貿易、通商を行い、巨万の富を得る。17:4,18:3、11〜19
B「キリスト教会」という皮を被っているが、本当のキリスト信者を迫害し、殺害する。13:11、17:6、18:24

 人々は救いを求めて教会に集まりますが、その教会は偽りの教会です。見かけはキリスト教会ですが、偽りの福音を教え、政治や商売に深く浸透して巨大な産業と化していくはずです。そしてこの教会組織はすでに世界中で形成されていると考えられます。しかし、この偽キリスト教会は最後には反キリストに裏切られ、迫害され、その地位、財産等をすべて失うことになります。

黙17:16 あなたが見た十本の角と獣は、やがて淫婦を憎み、はぎ取って裸にし、その肉を食らって火で焼き尽くすことになります。


B.イスラエル選民の信仰復帰

 患難期に入ると、多くのイスラエル人が信仰復帰することが預言されています。患難期の目的の一つとして挙げましたが、イスラエルの民全体がイエス・キリストを「約束のメシア」、救い主と認め、今までの不信仰を悔い改めて信仰復帰するはずです。現代の建築技術を用いてエルサレム神殿が瞬く間に再建され、彼らに命じられた礼拝が再びささげられるようになります。

ローマ人への手紙11:25 兄弟たち。あなたがたが自分を知恵のある者と考えないようにするために、この奥義を知らずにいてほしくはありません。イスラエル人の一部が頑なになったのは異邦人の満ちる時が来るまでであり、
11:26 こうして、イスラエルはみな救われるのです。「救い出す者がシオンから現れ、ヤコブから不敬虔を除き去る。
11:27 これこそ、彼らと結ぶわたしの契約、すなわち、わたしが彼らの罪を取り除く時である」と書いてあるとおりです。

 黙示録の預言では、患難期においてイスラエル人から選ばれた十四万四千人が登場します。この人たちは信仰復帰したイスラエル人のなかで特に神様に選ばれ、特別な権威を持って宣教のために働く人たちだと考えられます。(十二使徒と同じように) 彼らの宣教によって多くの異邦人が信仰に入ることが暗示されています。(黙示録7:9〜)

黙示録7:2 また私は、もう一人の御使いが、日の昇る方から、生ける神の印を持って上って来るのを見た。彼は、地にも海にも害を加えることを許された四人の御使いたちに、大声で叫んだ。
7:3 「私たちが神のしもべたちの額に印を押してしまうまで、地にも海にも木にも害を加えてはいけない。」
7:4 私は、印を押された者たちの数を耳にした。それは十四万四千人で、イスラエルの子らのあらゆる部族の者が印を押されていた。


C.反キリストの台頭

 ダニエル書、黙示録には、十本の角を持つ獣が登場します。描写の違いがあるため、細かいところまで断定できませんが、反キリストは10カ国から成る復興したローマ帝国から台頭してくると考えられます。反キリストは十カ国のうちの三カ国を倒してのし上がり、後に全世界の支配者として君臨することになります。従って、患難期前半において、政治的にも経済的にも強い支配力を持つ十カ国連合が形成されているはずであり、その中から反キリストが台頭してくるのです。

ダニエル7:7 その後また夜の幻を見ていると、なんと、第四の獣が現れた。それは恐ろしくて不気味で、非常に強かった。大きな鉄の牙を持っていて、食らってはかみ砕き、その残りを足で踏みつけていた。これは前に現れたすべての獣と異なり、十本の角を持っていた。
ダニエル7:24 十本の角は、この国から立つ十人の王。彼らの後に、もう一人の王が立つ。彼は先の者たちと異なり、三人の王を打ち倒す。
7:25 いと高き方に逆らうことばを吐き、いと高き方の聖徒たちを悩ます。彼は時と法則を変えようとする。聖徒たちは、一時と二時と半時の間、彼の手に委ねられる。

黙示録17:7 すると、御使いは私に言った。「なぜ驚くのですか。私は、この女の秘められた意味と、この女を乗せている、七つの頭と十本の角を持つ獣の秘められた意味を、あなたに話しましょう。
17:8 あなたが見た獣は、昔はいたが、今はいません。やがて底知れぬ所から上って来ますが、滅びることになります。地に住む者たちで、世界の基が据えられたときからいのちの書に名が書き記されていない者たちは、その獣が昔はいたが今はおらず、やがて現れるのを見て驚くでしょう。
17:9 ここに、知恵のある考え方が必要です。七つの頭とは、この女が座している七つの山で、それは七人の王たちのことです。
17:10 五人はすでに倒れましたが、一人は今いて、もう一人はまだ来ていません。彼が来れば、しばらくとどまるはずです。
17:11 また、昔はいたが今はいないあの獣は八番目の王ですが、七人のうちの一人でもあり、滅びることになります。
17:12 あなたが見た十本の角は十人の王たちです。彼らはまだ王権を受けていませんが、獣とともに、一時だけ王としての権威を受けます。
17:13 これらの王たちは一つ思いとなり、自分たちの力と権威をその獣に委ねます。

※黙示録では啓示が複雑なため神学者の間でも解釈の相違があります。


2.患難期の後半


A.反キリストが神殿に立つ

 患難期における最大の出来事として、反キリストがエルサレム神殿に立ち、自分を神だと宣言することが預言されています。これは彼が世界の政治的、宗教的支配者になるということです。そして、この事が患難期後半の合図となります。

マタイ24:15 それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす忌まわしいもの』が聖なる所に立っているのを見たら──読者はよく理解せよ──
24:16 ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。

ダニエル9:27 彼は(反キリスト)一週の間、多くの者と堅い契約を結び、半週の間(三年半)、いけにえとささげ物をやめさせる。忌まわしいものの翼の上に、荒らす者が現れる。そしてついには、定められた破滅が、荒らす者の上に降りかかる。」

 黙示録13章には、反キリストを、偽預言者を別の獣、そして彼らに権威を授ける悪魔をとし、この悪の三位一体の悪事を驚くほど詳細に預言しています。重要な箇所ですので、13章をそのまま載せておきます。

13:1 また私は、海から一頭のが上って来るのを見た。これには十本の角と七つの頭があった。その角には十の王冠があり、その頭には神を冒涜する様々な名があった。
13:2 私が見たそのは豹に似ていて、足は熊の足のよう、口は獅子の口のようであった。はこのに、自分の力と自分の王座と大きな権威を与えた。
13:3 その頭のうちの一つは打たれて死んだと思われたが、その致命的な傷は治った。全地は驚いてそのに従い、
13:4 を拝んだ。に権威を与えたからである。また人々はも拝んで言った。「だれがこのに比べられるだろうか。だれがこれと戦うことができるだろうか。」
13:5 このには、大言壮語して冒涜のことばを語る口が与えられ、四十二か月の間、活動する権威が与えられた。
13:6 は神を冒涜するために口を開いて、神の御名と神の幕屋、また天に住む者たちを冒涜した。
13:7 は、聖徒たちに戦いを挑んで打ち勝つことが許された。また、あらゆる部族、民族、言語、国民を支配する権威が与えられた。
13:8 地に住む者たちで、世界の基が据えられたときから、屠られた子羊のいのちの書にその名が書き記されていない者はみな、このを拝むようになる。
13:9 耳のある者は聞きなさい。
13:10 捕らわれの身になるべき者は捕らわれ、剣で殺されるべき者は剣で殺される。ここに、聖徒たちの忍耐と信仰が必要である。
13:11 また私は、別の獣が地から上って来るのを見た。それは、子羊の角に似た二本の角を持ち、が語るように語っていた。
13:12 このは、最初のが持っていたすべての権威を、そのの前で働かせた。また、地と地に住む者たちに、致命的な傷が治った最初のを拝ませた。
13:13 また、大きなしるしを行い、人々の前で火を天から地に降らせることさえした。
13:14 また、このは、あのの前で行うことが許されたしるしによって、地に住む者たちを惑わし、剣の傷を受けながらも生き返ったあのの像を造るように、地に住む者たちに命じた。
13:15 それから、そのの像に息を吹き込んで、の像がものを言うことさえできるようにし、また、その像を拝まない者たちをみな殺すようにした。
13:16 または、すべての者に、すなわち、小さい者にも大きい者にも、富んでいる者にも貧しい者にも、自由人にも奴隷にも、その右の手あるいは額に刻印を受けさせた。
13:17 また、その刻印を持っている者以外は、だれも物を売り買いできないようにした。刻印とは、あのの名、またはその名が表す数字である。
13:18 ここに、知恵が必要である。思慮ある者はそのの数字を数えなさい。それは人間を表す数字であるから。その数字は六百六十六である。

 反キリストの台頭は悪魔の策略によるもので、しるし(奇蹟)を伴うため人々は驚き恐れて彼に従うようになります。宗教界の指導者である偽預言者の支持を受け、彼は神格化されて世界の指導者と登りつめるのです。六百六十六という数字が何を象徴しているのか多くの解釈があります。17節を読むなら、反キリストの名前のアルファベットが表す数字の合計だとする解釈が、可能性が高いと思われます。

B.災害



 患難期において多くの災害が起こることが預言されています。これらの災害は患難期の前半にも起こるかもしれませんが、多くは後半に起こると考えられます。(下記の聖書箇所はヨハネの黙示録)

@人々が互いに殺し合うようになる――6:4

A大飢饉が襲う――6:6

B剣と飢饉と死病と地の獣によって人口の四分の一が殺される――6:8

C多くのキリスト信者が殉教する――6:9

D大地震が起こる――6:12

E世界中の三分の一が損なわれる――これは次の聖書箇所に預言されています。異常気象、火山爆発、大火災、大隕石落下、原爆による放射能汚染などが考えられます。

8:7 第一の御使いがラッパを吹いた。すると、血の混じった雹と火が現れて、地に投げ込まれた。そして地の三分の一が焼かれ、木々の三分の一も焼かれ、すべての青草も焼かれてしまった。
8:8 第二の御使いがラッパを吹いた。すると、火の燃えている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして海の三分の一が血になった。
8:9 また、海の中にいる被造物で、いのちのあるものの三分の一が死に、船の三分の一が壊された。
8:10 第三の御使いがラッパを吹いた。すると、天から、たいまつのように燃えている大きな星が落ちて来て、川の三分の一とその水源の上に落ちた。
8:11 この星の名は「苦よもぎ」と呼ばれ、水の三分の一は苦よもぎのようになった。水が苦くなったので、その水のために多くの人が死んだ。
8:12 第四の御使いがラッパを吹いた。すると太陽の三分の一と、月の三分の一、また星の三分の一が打たれたので、それらの三分の一は暗くなり、昼の三分の一は光を失い、夜も同じようになった。

F毒を持つ虫の発生(生物兵器 ウイルス感染等が考えられます)――9:1-11 

G戦争により、人間の三分の一が殺される――9:14-19

Hひどい悪性の腫れもの――16:2

I海中生物が絶滅――16:3

J太陽の激しい炎熱――16:8-9

C.ハルマゲドン

 前述の多くの災害の結果、世界中が大混乱に陥り、人々はこれらの災害をもたらした聖書の神を憎むようになります。彼らの怒りの矛先は信仰復帰したイスラエルに向けられることは火を見るより明らかです。反キリストを王とする軍隊をはじめ、反イスラエルの北の大軍、東方から来る二億の軍隊らが我先にとイスラエルを攻撃するために集まってきます。その場所がメギドの丘(ハルマゲドン)だと聖書は預言しています。

黙16:16 こうして汚れた霊どもは、ヘブル語でハルマゲドンと呼ばれる場所に王たちを集めた。

 イスラエルは大軍隊により攻め入られ、人々は虐殺され、神に祈るしかなくなった時、神様の直接介入によってこの世界最終戦争は幕が閉じられます。大地震と大きな雹(30kg以上の)を降らせることにより、軍隊は壊滅し、イスラエルの残りの民は守られます。そして栄光の主イエス・キリストが、さばきと救いのため、そして千年王国設立のため天から地上に降りて来られます。これにより患難期に終止符が打たれ、新しい時代へと入っていくのです。

ゼカリヤ14:2 「わたしはすべての国々を集めて、エルサレムを攻めさせる。都は取られ、家々は略奪され、女たちは犯される。都の半分は捕囚となって出て行く。しかし、残りの民は都から絶ち滅ぼされない。」
14:3 【主】が出て行かれる。決戦の日に戦うように、それらの国々と戦われる。
14:4 その日、主の足はエルサレムの東に面するオリーブ山の上に立つ。オリーブ山はその真ん中で二つに裂け、東西に延びる非常に大きな谷ができる。山の半分は北へ、残りの半分は南へ移る。
14:5 「山々の谷がアツァルにまで達するので、あなたがたはわたしの山々の谷に逃げる。ユダの王ウジヤの時に地震を避けて逃げたように、あなたがたは逃げる。」私の神、【主】が来られる。すべての聖なる者たちも、主とともに来る。


詩篇24:9 門よおまえたちの頭を上げよ。永遠の戸よ上がれ。栄光の王が入って来られる。
24:10 栄光の王それはだれか。万軍の【主】この方こそ栄光の王。セラ

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