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心に響く聖書の言葉


創世記6~8章 「大災害の後にある希望」



 創世記6~8章は大洪水が記録されている個所です。それは世界の歴史の中で最大の被害をもたらした災害でした。

7:11 ノアの生涯の六百年目の第二の月の十七日、その日に、巨大な大いなる水の源が、ことごとく張り裂け、天の水門が開かれた。
7:12 そして、大雨は、四十日四十夜、地の上に降った。


 聖書によると、2月17日に大洪水は始まり、雨が40日間続き、150日に渡り水かさが増し、地上のすべてが水で覆われてしまいました。そして約一年後に水が乾いたと記されています。この大洪水の爪痕は世界の至る場所で現在でも見ることが出来ますし、世界の不思議を解く鍵となっています。

1.大洪水の証拠

 ノアはアダムから数えて10代目の子孫です。洪水前の地球は今と異なり、大空の下にある水(海)と大空の上にある水が区別されていました。

1:7 神は大空を造り、大空の下の水と、大空の上の水とを区別された。そのようになった。

と書いてありますので、大気は厚い水蒸気の層(大空の上の水)で被われていたと考えられます。この水蒸気の層が地球を包むことで、地球の外から来る有害な宇宙線や、紫外線、エックス線等に対して、反射や吸収をするフィルターの役目を果たしていたと考えられます。また、温室効果により気温は温暖で最高の環境に整えられていたと考えられます。洪水前に聖書に登場する人々が800歳や900歳まで生きたというのは、決して考えられない話ではありません。また、地球上の環境は公害も大気汚染もないため、大木が生い茂り、動物も巨大化して恐竜やマンモスなどが生活するのに適した環境であったのです。

@石油、石炭の埋蔵
 大洪水により、地球上に生い茂った巨大な熱帯性植物や動物たちが、土砂によって急激に埋められてしまいました。それらが圧力をかけられ、地熱により石炭、石油となり、現在でも発掘されているのです。中東などであれだけの石油が産出されるためにはものすごい量の植物や動物が一度にうずめられ圧縮されなければなりません。このノアの大洪水の激変を無視して、その説明をすることは困難です。なぜなら死んだ動物や植物が自然に放置されたままでは、風化作用によって、ほとんど跡形もなく分解して、土のちりになってしまうからです。



Aシベリアのマンモス
 シベリアでは近年、地球温暖化の影響で永久凍土が溶け出し、シベリアの氷の下に眠っていたマンモスが次々に見つかっています。マンモスはもともと極寒の地に住む生き物ではありませんでした。シベリアで発見された氷づけのマンモスは、その口と胃の中から、温帯に生育するキンポウゲなどの青草が見つかっています。これは世界が急に豹変し、突如として凍死した状況を示しています。考古学では「氷河期」という説明で終わらせていますが、生存していたマンモスが氷漬けになるほど地球上の気候が一瞬にして変わることは考えられません。ノアの洪水だけが十分な説明を与えることが出来ます。

B地層、化石
 大洪水の結果、天を覆っていた水の層が取り除かれたことにより、地球は急激に冷えたので、南極と北極は凍りついてしまいました。地表は収縮変動して起伏が多くなり、高い山や深い海溝ができました。現在、高い山からも貝の化石が発見されますし、またグランドキャニオンなどの大洪水があったことを示す地形や、逆転した地層が数多くあり、世界の多くの地層は、大洪水の跡を残しています。

2.洪水の理由

 この大洪水は自然災害というよりも、神様のご意志であり、はっきりとした目的がありました。それは人間が神様の御心からはずれ、その時代の堕落があまりにひどかったからです。

6:5 【主】は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった。
6:6 それで【主】は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた。
6:7 そして【主】は仰せられた。「わたしが創造した人を地の面から消し去ろう。人をはじめ、家畜やはうもの、空の鳥に至るまで。わたしは、これらを造ったことを残念に思うからだ。」

6:11 地は、神の前に堕落し、地は、暴虐で満ちていた。
6:12 神が地をご覧になると、実に、それは、堕落していた。すべての肉なるものが、地上でその道を乱していたからである。


 人殺しが日常的に起こり、道徳的、性的な堕落があり、集団での暴行が当たり前のように行われた時代であったでしょう。神様はそのような人間世界を悲しまれ、すべての創造物を更新したいと願われたのです。

3.ノアの信仰

 その時代に、神への信仰心を持ち続けていた人がいました。神様はノアに目を向けられ、彼が正しく歩んでいることを知っておられました。神様はこのノアとその家族を人間の祖としようと決められ、ノアに箱舟を造るように命じられました。私たちはノアの信仰に多くのことを教えられます。

@周りの人に流されない信仰
 一人だけ違うことを主張し、行うことはとても勇気のいることです。「出る杭は打たれる」と言われる社会の中で、一人だけが正しいことを行おうとするのは難しいことです。正直に生きることも、周りに合わせないと「馬鹿正直」と言われ、邪魔者扱いされるのです。ノアはおそらく非難の的にされていたでしょう。口を開けば「神様、神様――」としか言わない愚か者だと。

A神様のことばを信じて実行した
 神様から洪水と箱船の啓示を聞いたときに、彼は信じ、そして箱船の制作に取り掛かりました。箱船のサイズも指示されていて、メートル換算すると、長さ約135m、幅22.5メートル、高さ13.5メートルです。当時では考えられないほど巨大な船ですが、現在の造船技術で最も安定したサイズであることが実証されています。ノアは命じられた通り、家族の救いのために箱船制作に取り掛かりました。

B忍耐して待った
 ノアは来る日も来る日もひたすら箱船を造り続けました。チェーンソーや丸鋸もない時代でしたから大木を切り、削るだけでどれほどの労力がかかったでしょう。また、周辺の人たちからは気が狂ったと思われたでしょう。それでも彼は神のことばを信じて箱船を造り続けました。ノアの信仰はまさに箱船造りに集約されていると思います。ノアは神様のことばを信じ、信じたとおりに働きました。そして洪水が起こる日を忍耐して待ちました。神様のことばは必ず実現すると信じて歩んだのです。



4.洪水の中の恵み

6:8 しかし、ノアは、【主】の心にかなっていた。

 この節は日本語より欽定訳のほうがよいでしょう。「But Noah found grace in the eyes of the LORD.」
直訳するなら「ノアは主の目の中に恵みを発見した。」となります。考えてみるならノア自身も被災者でした。今まで住んでいた家も、耕した土地も、洪水によってすべて流されてしまいました。自分の妻と息子たちと嫁たち以外の親戚はすべて死んでしまいました。しかし、彼は「恵みを発見した」と聖書は記すのです。そして7章1節では次のように書いてあります。

【主】はノアに仰せられた。「あなたとあなたの全家族とは、箱舟に入りなさい。あなたがこの時代にあって、わたしの前に正しいのを、わたしが見たからである。

 神様もノアという人を発見されました。「・・・わたしが見たからである」と訳されている言葉は「発見した」と訳すことが出来ます。堕落した時代にあってノアの信仰を神様は見つけられました。
 神様が暴虐の時代の中にノアという人を見つけられ、ノアは神様の恵みを見つけたのです。−−確かに神様は私たち人間から遠く離れておられる方ではありません。常に人間に御言葉を与えられ、救いの手を差し伸べておられるのです。



 東日本大震災のことを思う時、「なぜ神様はこのような災害を・・」と多くの方は質問されるでしょう。私にもその理由をはっきり理解できませんし、説明することもできません。けれども私たちの神に対する信仰は揺らぎません。人間は神様によって造られた者であり、神様がいのちを与え、そして取られるのです。私たちが人のいのちを延ばしたり短くしたりすることはできません。ただ、神様は必ず恵みを備えられるお方であることを知ることは大切です。
 ノアの洪水の時にノアの箱船は災害から逃れる唯一の救いの方法でした。いつの時代にもどんな災害の時にも神様は救いを備えられるお方です。この時代における神様の救いははっきりしています。それはイエス・キリストの十字架による救いです。どんなに罪深い人でも、その罪を赦され、永遠のいのちを与えられるという福音です。それは一時的な救いではなく永遠の救いです。使徒パウロは次のように言っています。

ピリピ 4:12 私は、貧しさの中にいる道も知っており、豊かさの中にいる道も知っています。また、飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、あらゆる境遇に対処する秘訣を心得ています。
4:13 私は、私を強くしてくださる方によって、どんなことでもできるのです。


 どんな境遇にあっても、どんな災害にあっても対処できる秘訣を私たちは持つことが出来ます。それは私を愛し、私のためにいのちを捨ててくださった御子イエス・キリストを信じる信仰によるのです。この秘訣をクリスチャンだけでなく、すべての人に神様は明らかにされ、与えたいと願っておられます。ですからどうして神様を不公平と言えるでしょう?
 神様はすべての人が信仰を持って救われることを願っておられます。そのためにご自身の大切なひとり子さえ犠牲にされました。神様は人間の罪とがを消し去るために、愛するひとり子を失う苦しみ悲しみを味わわれました。神様ご自身が私たち人間を救うために被災者となられたのです。ですから私たちの苦しみを知り、救いの手を差し伸べられるのです。この神様の恵みを発見し、信じる人となってください。