心に響く聖書の言葉
使徒の働き 講解説教
使徒の働き 2章42-47節
「神様の御心の教会」
.jpg)
一、集いたい教会
皆さんが集いたい教会とはどういう教会でしょうか？・・「愛と喜びに満ち溢れている教会」--これに尽きるかもしれません。反対に「こんな教会は嫌だ」と言うのはどういう教会でしょうか？--教会員が陰口ばかりの教会。牧師が王様になっている教会。牧師が御言葉を説教するたびに、「アーメン」ではなく、国会のようにヤジや怒号が飛び交う教会。考えるだけでゾッとします。
｢使徒の働き｣の著者であるルカは、最も理想的な教会が実在したことを記しています。それはエルサレムの初代教会です。ペンテコステの時に聖霊が与えられ、ペテロの説教によって約三千人が福音を信じてバプテスマを受け弟子に加えられ、エルサレムにおいて最初の教会が誕生しました。
人々はエルサレム神殿に集まり、礼拝を持ちました。毎日、救われる人々がいて、教会員が増えていきました。この最初の教会こそ、神様の御心の教会だと言えるでしょう。本日の聖書個所から、神様の御心の教会とはどういう教会なのかを学んでいきましょう。
二、初代エルサレム教会
2:42 そして、彼らは使徒たちの教えを堅く守り、交わりをし、パンを裂き、祈りをしていた。
2:43 そして、一同の心に恐れが生じ、使徒たちによって多くの不思議としるしが行われた。
2:44 信者となった者たちはみないっしょにいて、いっさいの物を共有にしていた。
2:45 そして、資産や持ち物を売っては、それぞれの必要に応じて、みなに分配していた。
2:46 そして毎日、心を一つにして宮に集まり、家でパンを裂き、喜びと真心をもって食事をともにし、
2:47 神を賛美し、すべての民に好意を持たれた。主も毎日救われる人々を仲間に加えてくださった。
エルサレムにおける初代教会は神様の御心の教会でした。ルカはこの教会の特徴を四つ挙げています。この四つの特徴が「神様の御心の教会」となる鍵です。
①使徒たちの教えを固く守り
教会にとってなくてはならないものは、第一に聖書の教えです。教会は人が集まって娯楽を楽しむ場所ではありません。
（レクリエーションの場所ではなく、レ・クリエーションの場所です。レ・クリエーションは、再創造と言う意味ですが、私たちの心をつくり変えてもらう場所こそ教会です）
神の言葉が伝えられ、教えられなければ教会とは呼べません。ただし、ルカが使徒の働きを書いた時点では、新約聖書はまだ成立していませんでした。従って、使徒たちが教えたことが教会の教義となり、人々はその教えを守っていったのです。イエス様から直接学んだ使徒たちの教えが教会の基礎となりました。ルカは「固く守った」と強調しています。使徒たちの教えがいかに重要で、そこから離れてはならないことを示しています。
固く守ったことの中には、教理的な教えと実践的な教えが含まれていたはずです。つまり、教理としては、主イエス・キリストの十字架と復活の事実とその意味、信仰義認の教え、神様の愛とさばき、そして、再臨の預言などです。そして、実践面としては、イエス様が命じられた「神を愛し、人を愛すること。聞いた御言葉を実行すること」などです。それらの教えを初代教会の人たちは固く守ったのです。
みなさんは聖書の教えを固く守っておられますか？律法主義のように聞こえるかもしれませんが、聖書が正しく教えられ、固く守られてこそ神様の御心の教会なのです。真理がゆがめられたり、妥協ばかりでは神様の御心の教会ではありません。
②交わりをし
コイノニアとは「共有すること、分かちあうこと」を意味し、等しくなるように与え、等しく受けることです。「いっさいのものを共有にしていた」と記されているとおり、物質的にも彼らは平等になるように努めました。不公平がない教会です。また、教会は平和の挨拶を交わし合い、霊的交わりを共に持ち、霊的な祝福を共に受ける場所です。私たちが主にある兄弟姉妹と交わりを持つ理由は明らかです。イエス・キリストを信じる人は神の子どもであり、神様の家族の一員となるからです。
マタイ 12:50 天におられるわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、姉妹、また母なのです。
教会での交わりが社交場的なものになったり、批判的になるとき、交わりは壊れてしまいます。しかし、コイノニアが生きて働くと、大きな祝福になります。
Ⅰヨハネ3:16-18 キリストは、私たちのために、ご自分のいのちをお捨てになりました。それによって私たちに愛がわかったのです。ですから私たちは、兄弟のために、いのちを捨てるべきです。世の富を持ちながら、兄弟が困っているのを見ても、あわれみの心を閉ざすような者に、どうして神の愛がとどまっているでしょう。子どもたちよ。私たちは、ことばや口先だけで愛することをせず、行いと真実をもって愛そうではありませんか。
教会を離れておられた姉妹がしばらくぶりに教会の礼拝に集われました。話を聞くと、教会の姉妹が週報を欠かさず彼女に送ってくださったとのことでした。その週報の裏には、その週の礼拝メッセージの内容がびっしり書いてあったそうです。その週報に感動して、もう一度教会へ行こうと決心できたそうです。
③パンを裂き
パンを裂く目的は、キリストの裂かれた体を思い出す聖餐(主の晩餐)としてのパン裂きです。キリストの十字架の死を思い起こすためにパンを裂いて食べたのです。十字架こそクリスチャンの誇りです。私たちの救いの基礎であり、教会の礎です。十字架が語られない教会はもはや教会ではありません。私たちはパンを裂くたびに、十字架に架けられ刺し通されたイエス様の姿を思い起こし、十字架の贖いに感謝し続ける・・それが神様の御心の教会です。
④祈りをしていた
御心の教会の最後の特徴は、祈りをしていたことです。教会には祈りが必要です。私たちには祈りが必要です。自分のために祈り、人々のために祈ることが必要です。この曲がった時代、暗闇が支配する悪の世界から守られるために必要なのは祈りです。神様の祝福をいただくために必要なのは祈りです。天の御父様は私たちが目を天に向けて祈りの声をあげることを待っておられるのです。
イエス様が祈りについて教えられた時、次のように言われました。
マタイ 18:20 「ふたりでも三人でも、わたしの名において集まる所には、わたしもその中にいるからです。」
一人で祈ることも大切ですが、二人三人と集まって祈るときに神様の特別な恵みが与えられます。ですから一人だけで問題を抱え込まないで、あなたの祈りを兄弟姉妹に伝えてください。病気の時、試練の時、決断の時、必要があるとき、兄弟姉妹たちに共に祈っていただくことによって解決できなかったことが解決できるようになることもあるのです。
三、現代の教会
エルサレムにおける初代教会は、理想的な神様の御心の教会でした。神様は私たちに「最高の教会の模範」を示してくださったのです。ただ、現在の私たちの教会が初代教会と全く同じようにできるかと言えばそれは難しい事でしょう。クリスチャンになった人は皆、出家して共同体生活に入ることは難しいでしょう。財産をすべて売り払って教会に献げることが出来るのは、ほんの一部の人だけです。すべての自分の持ち物を共有することは不可能に近いことでしょうーーもし教会が信者に共同体生活を強いるなら、厳しい社会的批判を浴びることでしょう。
私たちの信仰が小さいから初代教会の模範に従う事ができないのでしょうか？ーーそうかもしれませんが、初代教会と現在を比べるなら、明らかに違う点があります。初代教会時代には使徒たちによって多くの不思議としるしが行なわれました。しかし現在では使徒たちはいません。不思議としるしがありません。つまり、神様の特別な守りと奇蹟があったからこそ、初代教会が御心の教会として存続しえたと言えます。その証拠に、次第にしるしは無くなっていき、初代教会は迫害にさらされ、教会員は散らされてしまい、教会は長く続かなかったのです。
それでも神様は私達に教会の模範を示してくださったと認めるべきです。初代教会の模範にならうべきです。今日、学んだ四つの事は、現在の私たちの教会に出来ないことではありません。聖書の教えを固く守ること。交わりをすること。パンを裂くこと。祈ること。イエス様が再臨されるまでそれらを続けていきましょう。
.jpg)